薄毛対策は原因によって違う?「薄毛の四代原因」と効果的な栄養素
薄毛の原因は人それぞれ。その対策、正しいですか?
薄毛といえば、「男性特有の悩み」というイメージの強い症状です。しかし、女性にも薄毛で悩んでいる人が少なくありません。薄毛の対策を考えるには、まずはその原因を知る必要があります。なぜなら薄毛の原因は男女ともに様々で、人それぞれにも違いがあるためです。また、薄毛の原因が一つの人もいれば、複数の原因が重なって薄毛になっている人もいます。
「対策をしているのになかなか薄毛が改善しない」という人は、もしかしたら自分に合わない対策を取っているのかもしれませんね。逆に正しい対策が分かれば、誰にでも薄毛を改善できる可能性があります。諦めてしまう前に、もう一度普段の薄毛対策を見直してみてください。
それぞれに効果的な薄毛対策を考えていくために、まずは多くの人に見られる薄毛の原因について解説していきます。
薄毛の原因⓵ストレス
生きていれば誰でも、ストレスを感じない日はありません。普通に生活をしているだけでも、体は多少なりともストレスを感じているものです。このストレスこそ薄毛に悩む人の大敵で、すぐに対策すべき薄毛の原因です。なぜストレスが薄毛の原因になるのか、ストレスを受けた際に体内で起きていることから確認していきましょう。「ある時期からよくストレスを感じるようになり、抜け毛が始まったのも同じ時期」という人は要チェックです。
人の体ではストレスを感じると、「カテコラミン」と呼ばれるホルモンが分泌されます。すると、同時に「活性酸素」も発生します。この活性酸素は生活習慣病の原因になるなど、人体に悪影響を及ぼすことがある物質です。活性酸素を分解して体を守ってくれるのは「メタロチオネイン」と呼ばれる物質で、主に亜鉛を材料にできています。また亜鉛には脳で情報の伝達を助け、神経を安定させる働きもあります。
つまり人はストレスを受けると、亜鉛を消費して体と心の正常を保とうとするのです。よってストレスが多い人ほど、体内で沢山の亜鉛を消費していることになります。ただし、亜鉛が必要なのはストレスを受けた時だけではありません。亜鉛は髪のほとんどを構成するタンパク質「ケラチン」を合成するのにも必須の栄養素です。健康な髪を育てるには、亜鉛の存在が欠かせません。
しかし、亜鉛は生きるために必要な部分を優先して消費されます。日常的にストレスを感じていれば、当然、命に直接関わりのない髪は後回しです。その結果、栄養が不足した髪は弱って抜けやすくなり、薄毛に繋がってしまいます。
またストレスが薄毛に繋がるのには、もう一つの理由があります。それは「ホルモンバランスの乱れ」です。カテコラミンは3種類のホルモン「セロトニン・ドーパミン・アドレナリン」で構成されているのですが、ストレスを感じるとこれらのバランスが乱れます。すると、それぞれと関係がある性ホルモンの分泌量も乱れてしまいます。
「男性ホルモンが多いと薄毛になる」と聞いたことがありませんか。その通り、男性ホルモンには髪の成長を妨げる働きがあります。セロトニンとドーパミンは男性ホルモンの分泌量を増やし、髪を弱く・抜けやすくしてしまうのです。
薄毛の原因⓶血液の流れが悪い
頭皮に張り巡らされている血管には、髪に栄養分を届けるという重要な役割があります。髪の毛のもとになる毛母細胞が栄養を受け取り、初めて髪の毛が成長するのです。よって何らかの影響で血液の流れが悪くなると、髪に栄養が届かなくなり、弱った髪や抜け毛の原因になります。血液の流れを悪くする要因は、ストレスや運動不足、生活習慣の乱れが代表的です。
まずストレスを受けると、自律神経が乱れて全身の血管が収縮します。自律神経のうち、興奮を司る「交感神経」が活発になるためです。その結果頭皮の血管も収縮し、血液の流れが悪くなります。
運動不足が血液の流れを悪くするのは、筋肉の動きが血液を全身に送り出しているからです。従って、運動不足で筋肉を動かさないと、徐々に血液の流れが滞っていきます。デスクワークや自動車で移動する機会の多い現代人は、特に運動不足による影響が深刻です。
生活習慣の乱れとは、具体的には「睡眠不足」「飲酒」「過度な喫煙」などです。これらはみな血液の巡りを悪くし、頭皮への血流を妨げます。特に睡眠不足の悪影響は、自律神経を乱すだけに止まりません。なぜなら髪に必要な栄養素は、夜寝ている間に毛母細胞へ送られるからです。よって睡眠不足は髪の栄養不足に繋がります。
薄毛の原因⓷皮脂の分泌が過剰
髪が生えている頭皮では、それ以外の皮膚と同じく常に皮脂が分泌されています。顔の皮脂が多いと、ニキビや毛穴のつまりなどの肌トラブルの原因になりますよね。頭皮も同じく、皮脂の分泌が過剰だとトラブルが発生しやすくなります。
過剰に分泌された皮脂は毛穴を詰まらせ、そこに雑菌を繁殖させます。すると頭皮の環境が悪くなり、血流が滞って髪が抜けやすくなってしうのです。皮脂が過剰に分泌されることが原因の脱毛症は、「脂漏性(しろうせい)脱毛症」と呼ばれます。
皮脂が原因の抜け毛を防ぐには、頭皮を常に清潔に保つことが肝心です。特に汗を多くかく時期や運動した後は、皮脂が多く分泌されています。汗をかきやすい人、髪がべたべたとしやすいという人は、皮脂の量が多いのかもしれませんね。普段の生活で頭皮をしっかりケアできているか、もう一度確認してみましょう。
薄毛の原因⓸遺伝
よく「親が薄毛だから、遺伝して自分も薄毛になった」と言う人がいます。それは半分正解で、半分間違いと言えます。なぜなら、薄毛の症状自体が親から子へ遺伝するわけではないためです。よって親が薄毛に悩んでいても、将来必ず自分も薄毛になるとは限りません。
ただし、その逆もあり得ます。親に薄毛症状が出ていなかったのに、自分は薄毛になってしまったという人はかなりいるはずです。そんな時に遺伝以外の原因を探してしまうと、薄毛対策がうまくいかない可能性があります。
その理由は、「薄毛は遺伝しなくても、薄毛の原因は遺伝することがある」からです。例えば男性ホルモンの分泌量が通常より多い、頭皮の脂が分泌されやすいといった、薄毛の原因になる体質は遺伝することがあります。親は薄毛になりやすい体質でも、たまたま症状が現れなかっただけかもしれません。様々な薄毛対策を試しても効果が見られなかったという人は、多少ですが遺伝が原因の可能性も残されています。
しかし遺伝が原因の薄毛だからと、対策を諦めてしまうのが一番よくありません。薄毛に繋がる体質がはっきりしていれば、改善できるものから改善していけばいいのです。男性ホルモンが多ければホルモンバランスを整え、皮脂が分泌されやすければ頭皮を清潔に保つことを目指しましょう。
注意したい薄毛の意外な原因
上で紹介した4つは「薄毛の4大原因」と呼ばれるほど、多くの人に共通する薄毛の原因です。しかしこの4つ以外にも、日常生活の中で注意したい行動があります。
それは「皮脂の取り除きすぎ」、つまり頭皮の洗いすぎです。既に皮脂が薄毛の原因となることを説明しましたが、実は必要以上に取り除いてしまうのもよくないことを知っていましたか?
皮脂は頭皮の水分が蒸発しないように守ってくれる存在です。水分を保つことで、頭皮から細菌などの有害な刺激が侵入しないようガードしています。この皮脂が適切な量を保っていればいいのですが、何らかの原因で過剰、あるいは不足しやすいのが問題です。過剰に分泌されれば薄毛を引き起こすことは説明した通りですが、実際のところ不足しても薄毛につながることがあります。
皮脂が不足すると、まずは頭皮を刺激から守る機能が低下します。すると細菌や紫外線などの影響を受けやすくなり、頭皮の環境が悪化して正常な髪の成長が妨げられます。また皮脂が不足すると、体は皮脂を分泌するように命令を出すため、かえって皮脂が過剰に分泌されることになるのです。過剰な皮脂が薄毛の原因になるメカニズムは先に解説した通りになります。
頭皮のベタつきやにおいが気になるからと、一日に何度もシャンプーをするのは逆によくありません。市販のシャンプーは洗浄する力が強いので、何度も使うと皮脂を落としすぎてしまうためです。また、頭皮をゴシゴシと強い力で洗いすぎるのもNG。弱った髪は抜けやすくなっていますし、頭皮の角質が剥がれてさらにダメージを与えてしまいます。
シャンプーは一日に一回、髪が最も成長すると言われる夜に行うのがベストです。正しい方法で適度に清潔さが保たれれば、髪が成長する環境がしっかり整えられ、薄毛の改善も期待できます。
今すぐ効果が期待できる薄毛対策とは?
ここまで薄毛の主な原因となるものを紹介してきました。これらの中で思い当たる原因を解消すれば、薄毛の悩みも改善される可能性があります。しかし、体質や生活習慣は思い立ってすぐに変えられるものではありません。そのため今すぐ原因解消に取り組んでも、薄毛対策としての効果が表れるのはずっと先になると考えられます。では、今すぐ効果が期待できる薄毛対策は存在しないのでしょうか。
すぐに効果があると断定はできませんが、薄毛対策にぜひ試してほしい方法があります。それは、髪に必要な栄養素を食べ物から補ってあげることです。髪の成長は、必要な栄養が十分に足りてこそですから、その効果は大いに期待できます。「髪を生やしたいけど薬に頼るのは不安…」という人にもおすすめです。
髪の健康な成長に必要な栄養素⓵タンパク質
まずは何と言っても、髪を作るもとになるタンパク質が欠かせません。タンパク質の「ケラチン」は、なんと髪の99%を構成すると言われています。それだけ髪にとって重要だと言うことですね。ケラチンは18種類のアミノ酸が繋がった物質で、その中でも「シスチン」と呼ばれるアミノ酸が多くを占めています。
しかし残念ながら、人はシスチンを体内で作ることができません。そのため、必用な量を食べ物から補うことが必要です。シスチンは「メチオニン」と呼ばれるアミノ酸から合成されます。つまり、髪のためにはたくさんのメチオニンを摂取することが重要なのです。
メチオニンが多く含まれるのは、例えば大豆製品やイモ類、玄米です。これらに多い植物性タンパク質が分解されることで、メチオニンをはじめとするアミノ酸が生まれ、体中に行き渡ります。タンパク質およびアミノ酸は体中で必要とされるため、髪に十分な量を送るには毎日継続して接種することが肝心です。
もちろん肉や魚などから動物性タンパク質を摂取しても効果的ですが、摂りすぎはコレステロール値が心配です。やはり両方のタンパク質をバランスよく摂取するのがいいですね。
髪の健康な成長に必要な栄養素⓶ビタミン類
ビタミン類の中には、アミノ酸がタンパク質に合成されるのを助けてくれるビタミンがあります。そのため、タンパク質を効率よく吸収するならビタミンの摂取も重要です。そのビタミンはビタミンB群と呼ばれ、玄米やしいたけなどに多く含まれています。
また他のビタミンについても、髪の健康にとってかなり重要な働きをするものばかりです。ビタミンAは皮膚を健康に保ち、頭皮の乾燥やフケを防止します。乾燥肌の人も、逆に皮脂が多くて頭皮が荒れやすい人もぜひ摂取したいですね。ビタミンCはB群と同じくタンパク質合成を助けるとともに、ストレスを抑制する働きも持っています。ストレスを感じたら、髪に影響する前にビタミンCを摂取しましょう。そしてビタミンEは血流改善に効果があると言われています。ビタミンA、C、Eは緑黄色野菜に多く含まれるビタミンです。
ビタミン類は非常に種類が多く、毎日すべてを摂取するのは難しいですよね。そんな時は、必要なビタミンをまんべんなく補えるサプリメントが便利です。もちろん食事での摂取を第一に、足りない分をサプリメントで補いましょう。
髪の健康な成長に必要な栄養素⓷ミネラル
ミネラルには、ケラチンの合成に必須な亜鉛を始め、鉄分や銅、カルシウムやマグネシウムも含まれます。
鉄分は全身に酸素や栄養素を運ぶ、血液の中の「ヘモグロビン」と言う色素を構成する栄養素です。よって鉄分があることで、髪にも栄養素が届けられています。女性は特に鉄分が不足しやすく、抜け毛や薄毛はそれによる貧血が原因になりがちです。鉄分はホウレンソウやゴマ、レバーに多く含まれていますが、体へ吸収されにくいことに注意しましょう。ちなみに、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収効率がアップします。
よく「髪には海藻がいい」と言われるのは、海藻にマグネシウムや亜鉛などが多く含まれているからです。マグネシウムは血管の中にカルシウムが溜まらないようにして、血液の流れを良くしてくれます。また神経の興奮を抑える働きもあるため、亜鉛とともにぜひ摂取したい栄養素です。海藻を食べれば、この二つを一気に摂取することができます。もちろん一日に必要な量を毎日という訳にもいかないので、ミネラルもサプリメントを活用して補うのがおすすめです。