抜け毛の原因は男女で違う!日常に潜む抜け毛の原因とは

抜け毛の原因は男女で違う!日常に潜む抜け毛の原因とは

女性の抜け毛の原因

女性の抜け毛の多くは、「女性ホルモン」のバランスが崩れて薄毛になっていくことが原因です。まず確認したいのが薄毛の状況ですが、女性特有の薄毛はどこか一部が薄くなるのではなく、髪の毛が全体的に細くなっていくことが特徴です。髪の毛のコシもなくなり、ボリュームがなくなってきたと感じるようになります。また、髪の毛の分け目などが気になるようになり、地肌も以前より目立ってくるのが特徴です。結果として、抜け毛が多くなったと感じるのです。

なぜこういった現象が起こるのかというと、生活習慣の乱れや加齢などによって女性ホルモンの分泌量に変化が起こるためです。20代などの若い年齢でも、ストレスなどによって女性ホルモンの分泌が乱れることが少なくありません。女性ホルモンの分泌量が減少すると、すぐに薄毛など髪の毛のトラブルに関係してくるため注意が必要です。
女性ホルモンには、「プロゲステロン」という黄体ホルモンと「エストロゲン」という卵胞ホルモンの2種類のホルモンがあり、それぞれの役割は異なります。プロゲステロンは「母のホルモン」とも呼ばれており、妊娠などの働きを促すホルモンです。皮脂の分泌を活発にする働きもあり、プロゲステロンの分泌が乱れると毛根への影響が出てきます。エストロゲンは「美のホルモン」ともいわれるもので、女性らしい体を作ることに役立ちます。髪の毛との関係が特に強いのはこちらです。

エストロゲンは髪の毛の成長を促進するホルモンであるため、エストロゲンの分泌が減少すると髪の毛の成長も常に不十分なままの状態になってしまいます。つまり、太くコシのある毛が育たなくなってしまうのです。エストロゲンは頭皮の血流にも関係しており、毛根へ十分な血液を送ることが難しくなってきます。
また、髪の毛の育成には「コラーゲン」も必須な要素です。コラーゲンは美肌のために必要なことはよく知られていますが、髪の毛についても同様です。エストロゲンはコラーゲンの合成を促す働きを持っていますが、エストロゲンの分泌は減少すれば当然コラーゲンも足りなくなってしまい、髪の毛の元気がなくなってしまうのです。

 

女性の抜け毛対策

女性ホルモンの乱れによって抜け毛や薄毛が起こってしまった場合は、自然に回復するのを待つのではなく、すぐに対策を行うことが大切です。20代や30代の場合は、ストレスによるホルモンバランスの乱れであることがほとんどです。特に最近では女性の社会進出が進み、ストレスを受けやすい環境が増えています。
仕事や育児をがんばりすぎて無理が祟ることが多いのですが、無自覚にストレスを溜め込んでいるケースも多いので注意が必要です。誤解されがちですが、ストレスとは単に「気分」や「気持ち」だけの問題ではありません。「ストレスホルモン」が代表的ですが、メンタルだけの問題に収まらず、物理的に身体を攻撃してくる手強い存在なのです。

ストレスが身体に良くないのは女性に限ったことではありませ。しかし、ホルモンの分泌にも悪影響を与えるため、特に女性は注意が必要です。女性ホルモンの分泌などを指令しているのは、脳のなかにある「視床下部」という部位です。一方、ストレス感知するなど感情を司っているのは「扁桃体」という部位です。この二つはかなり位置が近く、ただでさえ有害なストレスが女性ホルモンの分泌とより強い関わりを持ってしまっているのです。

ストレスが原因で女性ホルモンの分泌が乱れてしまった場合は、生活そのものを見直すことが必要です。つまり、「生活習慣」「生活環境」の二つを根本的に変えていくことが求められます。「そうはいっても、仕事や育児に追われてそれどころではない」という人も少なくありませんが、「睡眠時間を延ばすこと」や「食事を見直して栄養を偏りなく摂取する」ことはさほど難しくありません。また、効果も絶大です。逆に、無理なダイエットや偏食などは極めて危険です。基本的な生活環境を整えることこそが、抜け毛や薄毛を予防する大切なポイントなのです。

また、季節の変わり目などの寒暖差が激しい時期にも注意が必要です。身体が気温の変化に対応できず、ホルモンの分泌バランスが簡単に崩れてしまうからです。冬場に暖房の効いた室内から寒い屋外に出かけるとき、または夏場に冷房で冷えた身体で暑い屋外に出るようなときも同様に注意しましょう。いつでも体温を調整できるような服装を心掛けることが大切です。

 

男性は「ヘアサイクル」に注意

男性の場合、抜け毛が増えたと感じるときは「ヘアサイクル(毛周期)」が正常に稼動しているかどうか確認することが大切です。ヘアサイクルは男性だけでなく女性にもあるものです。しかし、男性は女性よりもヘアサイクルが短いため、異常が発生しやすいのです。
ヘアサイクルとは、その名が示すように髪の毛が生え変わる周期のことですが、女性が5年から6年であるのに比べて、男性は2年から5年と短いことに注意が必要です。つまり、男性にとって抜け毛が多いのは自然な現象なのですが、ヘアサイクルに異常があると新しい毛が生まれてこなくなってしまい、薄毛がすぐに目だってしまうのです。

ヘアサイクルの初期では、産毛のような毛が誕生し、そのまま太く長い毛に成長していきます。毛が一日あたり0.3ミリほどのペースで育っていくこの段階は「成長期」と呼ばれます。成長期は数年続き、やがて「退行期」と呼ばれるフェーズに入り、毛根は退化に向かうことになります。さらに数週間の後、「休止期」という段階に入り、髪の毛が抜け落ちていきます。
ヘアサイクルが正常であれば、ここから再び髪の毛が生まれて成長期に入っていきますが、ここでサイクルが止まってしまうこともあります。その場合は、薄毛の状態になってしまう恐れがあります。つまり、「抜け毛が増えた」のではなく「新しい毛が生えてこない」という現象であることに注意が必要です。

もちろん、本当に抜け毛が増えるときもあります。しかし、毛根が元気でヘアサイクルが正常に稼動しているのであれば、すぐに新しい毛が生えてくるのであまり心配はいりません。それでもあまりに多くの髪の毛が一度に抜けたというのであれば、シャンプーの回数を見直すなどの入念なケアが必要です。毛根などがひどいダメージを受けている可能性があり、ヘアサイクルが正常であるかどうかが確認できるまでは細心の注意を払うことが大切です。
一時的な体調不良などで抜け毛が目立ったとしても、数ヶ月頭皮の状態を観察して元に戻ったようであれば、毛根も正常であると判断できます。しかし、一時的なものだろうと放置しておいた結果、手遅れになってしまうケースも少なくありません。少しでも抜け毛が気になったのであれば、最悪のケースも想定してケアをしながら経過を観察することが大切です。

 

男性特有の抜け毛や薄毛

男性は30代に入ると、ヘアサイクルに異常を感じることが多くなります。特に「頭頂部」「額の生え際」「前頭部」の3ヶ所に異常を感じた場合は、男性特有の脱毛症を疑う必要があります。これは一般に「AGA」といわれており、「男性型脱毛症(Androgenetic Alopecia)」を略したものです。年齢とともに進行していくことが特徴ですが、20代に発症する人も少なくありません。自然に治ることはないため、放置しておくことは危険です。

AGAについてはさまざまな俗説がありましたが、現在では男性ホルモンのひとつ「テストステロン」が原因であることが判明しています。テストステロンは男性の体毛や男性らしい体つきなどに作用されることでも知られています。しかし、テストステロンが多いからといってAGAになるというわけでもないので、注意が必要です。「毛乳頭細胞」に取り込まれたテストステロンは、「5α還元酵素2型」の「リダクターゼ」が皮脂腺で作られると反応を起こします。
その結果、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という物質に変換されます。これがAGAの直接原因となる物質です。ジヒドロテストステロンは毛乳頭や毛母細胞にダメージを与え、薄毛を引き起こしてしまうのです。このメカニズムを引き起こす体質は、ほとんどの場合遺伝により決定されます。

毛根がひどいダメージを受けると、ヘアサイクルは正常に稼動しなくなります。成長期の早い段階で毛が抜け落ちてしまうことが特徴的な現象です。そのため、正常であれば2年以上であるヘアサイクルも1年未満になってしまいます。AGAが進んでいる場合はヘアサイクルが数ヶ月ということも珍しくありません。

「最近、やたらと短い毛が抜ける」という人の場合は、AGAがこの段階まで進行している恐れがあります。毛が十分に成長する前に抜けてしまうため、完全な薄毛の状態になってしまうのも時間の問題です。さらに症状が進行すると、ヘアサイクルは休止期から成長期に進むこともなくなります。最終的には毛球部は萎縮していき消失してしまいます。ここから正常な状態に戻すことは非常に困難です。
AGAの疑いがある場合は、専門のクリニックに相談することが安全な方法です。AGAの治療は「医療」の範疇だからです。早い段階で診察を受ければ、ヘアサイクルを正常に戻すことは十分に可能です。

 

環境が原因の抜け毛

夏に照りつける日差しは、頭皮や毛根にも強いダメージを与えます。その原因は「紫外線」です。しかし、注意したいのは、紫外線は夏だけでなく春にも強力に降り注いでいるということです。春は空気もまだ乾燥しており、頭皮は非常に傷つきやすい状態であるため注意が必要です。紫外線によって頭皮などが老化される現象は「光老化」と呼ばれ、抜け毛や薄毛の原因となります。また、こういった老化を促進させるのが「活性酸素」です。
活性酸素は体内で発生する老化物質として知られていますが、紫外線が頭皮などに達することでこの活性酸素を発生させてしまうのです。

紫外線には「UV-A」と「UV-B」という2種類があり、それぞれ波長が違うため、頭皮への影響の仕方も異なってきます。頭皮や毛根に直接ダメージを与えるのはUV-Aです。UV-Bに比べてさほどエネルギーは強くないものの、肌の奥まで達する波長であるために、ダイレクトに毛根にダメージを与えてしまうのです。
あまり日差しが強くないときでも、帽子を着用するなどしてUV-Aを警戒しておくことが大切です。UV-Bは強力なエネルギーを持っていますが、その影響は肌や髪の表面に留まります。しかし、短髪の男性などは頭皮を直撃される恐れもあり、やはり通気性の良い帽子などで十分な対策を施しておくことが必要です。

梅雨から夏にかけての高温・多湿な環境にも注意が必要です。特にこの時期は、頭皮が不潔な状態だと雑菌があっという間に繁殖してしまい、毛根などに深刻なダメージを与えてしまいます。頭皮にはもともと「常在菌」というさまざまな菌が存在していますが、高温・多湿の環境下で頭皮が不潔になると、これらが異常繁殖して毛根に必要な栄養まで奪ってしまうのです。また、頭皮自体も雑菌によって荒らされてしまいます。
代表的なものが「アクネ菌」です。ニキビの原因としても知られていますが、異常繁殖すると頭皮の炎症などを起こして毛根を傷つける原因となります。

「皮膚ダニ」も警戒しておく必要があります。ダニはよほど不潔な環境でないと発生しないと思われがちですが、実は普段から人間の皮膚に住んでいるものです。代表的なものが「デモデクスフォリキュロラム」「デモデクスブレビス」の2種類ですが、本来は毛穴を掃除してきれいに保ってくれる善玉です。しかし、頭皮の皮脂が多くなると異常発生して、やはり毛根に必要な栄養を奪ってしまうのです。高温・多湿の時期は、こまめにシャンプーをするなど、頭皮を清潔に保つ努力が欠かせません。

 

日常に潜む抜け毛の原因

これまでみてきたように、抜け毛や薄毛にはホルモンなどが非常に大きく影響しています。また、春から夏にかけての外部環境も抜け毛や薄毛を引き起こす原因となっています。しかし、1年を通した日常生活のなかにも抜け毛や薄毛の要因が潜んでいることには注意が必要です。不規則な生活や睡眠不足などが引き起こす「自律神経」の乱れが代表的なものです。

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」とがありますが、副交感神経が優位になると血管が拡張されるという作用があります。これによって血行が良くなり、毛根にも栄養が行き渡ります。しかし、自律神経が乱れると交感神経優位が続き、血管も収縮した状態が続いてしまいます。
そうなると、毛根に十分な血液が与えられず、抜け毛や薄毛になってしまうのです。ストレスのない規則的な生活を心がけることが自律神経を保つために重要です。

食事のバランスも重要です。偏食は髪の毛の成長に必要な栄養素が足りなくなる原因となり、ヘアサイクルの異常を引き起こしてしまいます。髪の毛の成長に必要なものは、「たんぱく質」「ミネラル」「ビタミン」の三大栄養素です。髪の毛は90%が「ケラチン」というたんぱく質で構成されているため、特にたんぱく質の摂取は意識することが必要です。抜け毛や薄毛を防ぐために、普段の生活を見直すことが大切です。