これって円形脱毛症?主な特徴、種類、対策方法について
円形脱毛症とは?
円形脱毛症とは頭髪の一部、または複数の箇所がおもに円形に脱毛する症状のことです。
円形脱毛症の疑いがある症状には、日常生活において急に抜け毛が増える、頭皮に円形な地肌が見えるところがある、洗髪時、指に髪が絡みついて抜け落ちるなどさまざまですが、ある日突然なんの兆候もなく、普段では見られないような抜け毛が始まることです。
脱毛部分の大きさが10円玉以上になると、このような自覚症状を感じることが多くなります。また、家族や会社の同僚など、周囲から指摘をされて気が付く場合もあります。
円形脱毛症のおもな特徴
円形脱毛症の特徴は男性だけでなく、女性や子供など、性別や年齢に関係なくだれでも発症する可能性があることです。また、円形脱毛症を発症する割合は人口の1割から2割ほどと言われており、国内の地域による発症率の違いもありません。
円形脱毛症はどの年齢層でも起こり得ますが、おもに15才以下の子供の時に症状が現れる場合は、比較的脱毛の程度がひどくなる傾向があります。
子供の時に起こる円形脱毛症と似たものに「抜毛症」があります。抜毛症とは思春期の子供に多く見られる症状で、自分で髪の毛を抜いてしまう病気のことです。円形脱毛症と非常に症状が似ているため混同されがちですが、抜毛症の場合は自分で髪の毛を抜く(引っ張る)ために、途中で髪の毛がちぎれているのが特徴です。円形脱毛症と抜毛症は別の病気であることを理解しておきましょう。
ほかにも混同されがちなものに、AGA(男性型脱毛症)があります。円形脱毛症とAGAはどちらも同じ脱毛症ですが、症状や進行具合に違いがあります。どちらも人により脱毛の進行状況に違いがあるため、一概ではありませんが、一般的にAGAは頭頂部や髪の生え際から比較的ゆっくりと抜け毛が進行することに対し、円形脱毛症は短期間に急速な勢いで脱毛します。さらに円形脱毛症は円形状に脱毛し、周囲との境目がはっきりと分かれているのが特徴です。
また、円形脱毛症を発症する場所は頭皮だけでなく、体の体毛や、眉毛などが脱毛する場合もあります。脱毛箇所の形は円形がもっとも多く見られますが、稀に楕円形などの形で脱毛する場合もあります。
さらに特徴として、円形脱毛症を発症した人のおよそ3割から4割が、完治したあとも繰り返し発症すると言われています。理由については円形脱毛症になるもともとの原因が関わっていることにあるため、それらを取り除くことが再発防止につながると考えられています。しかし、そもそも円形脱毛症の原因が完全に解明されているわけではないため、現在考えられているさまざまな要因を排除することが再発防止に重要であると言えるでしょう。
このように円形脱毛症は人によって症例にさまざまなケースがあるのが特徴です。また、脱毛の速さにも人によって個人差があり、ゆっくりと時間をかけて抜ける場合や、短い期間で一気に抜けてしまうケースもあります。
円形脱毛症の種類
円形脱毛症の種類にはさまざまなタイプがあります。比率的に一番多いタイプは「単発型」で、大きさはおもに10円玉から500円玉くらいの脱毛が単発で発症するものです。また、単発型の場合はおよそ80%が1年以内に完治すると言われていますが、さらに重症化(多発型などに移行)する場合もあります。
「多発型」は脱毛部位が2箇所以上頭部に発症するものです。多発型の場合は、脱毛部位が重なったりくっついたりすることで、脱毛部分が広範囲におよぶ「多発融合型」になる場合や、頭部全体がまだら模様のように脱毛するケースもあります。「蛇行型」はおもに後頭部から髪が蛇行するように抜ける脱毛症状です。さらに多発型や蛇行型などの症状が悪化すると、脱毛が頭部全体に広がるケースも少なくありません。その場合「全頭型」という頭髪がすべて抜け落ちてしまう状態になります。
また、全頭型からさらに症状が進行した場合、最終的に「汎発型」(はんぱつがた)と呼ばれる全身の体毛がすべて抜け落ちる状態になり、このようなタイプの円形脱毛症になると治療も長期化する傾向にあります。
円形脱毛症の症状は人によって個人差があり、中には自身で気が付かないくらい小さくて、いつの間にか生えて円形脱毛症になったことすら気が付かない場合もあります。
円形脱毛症になる原因とは?
円形脱毛症の原因にはさまざまな説がありますが、はっきりとした原因は分かっていません。しかし原因となる要素はいくつか考えられています。
まず考えられている原因の1つ目は「自己免疫疾患」です。わたしたちの体は外部から病原菌やウィルスなど、もともと人体にない異物(非自己)が侵入した場合、それらから人体(自己)を守るための自己免疫機能が備わっており、その機能に何らかの異常が生じた場合、自己免疫疾患となります。自己免疫疾患による円形脱毛症は、自己の免疫機能であるTリンパ球が頭髪の毛根を非自己として認識することで脱毛が起こると考えられています。本来であればわたしたちの体を守ってくれるはずの免疫機能が、なぜ毛根を攻撃するのかは分かっていませんが、円形脱毛症を発症する人は、異常性白斑や、甲状腺疾患などの自己免疫に関わる病気を併発しているケースが多いため、近年ではこの自己免疫疾患が原因として有力です。
2つ目の説は、「アトピー性皮膚炎」が原因によるものです。こちらも円形脱毛症になる人のおよそ4割がアトピー性皮膚炎を患っているというデータがあり、関係性が有力視されています。
3つ目の原因は、「ストレス」によるものです。人は過度のストレスを感じると、自律神経やホルモンバランスを崩し、交感神経に異常をきたすため血流が悪くなります。その結果、毛根への栄養が行き届かなくなり、抜け毛につながると考えられています。また、ストレスが自己免疫疾患を誘発し、抜け毛につながるとも言われています。
4つ目は「体に必要な特定の栄養素の不足」です。特定の栄養素とは亜鉛やミネラル、鉄分などのことで、これらが不足すると味覚障害や貧血、円形脱毛症などの抜け毛が起こるとされています。
5つ目の原因は「遺伝的要素」です。円形脱毛症を発症する人の2割程度が家族などの血縁者内でも発症の経験があると言われており、何らかの遺伝的要素も考えられているようです。
円形脱毛症の原因と言われているものにはほかにも、暴飲暴食・喫煙・生活スタイルなどさまざまな要因が考えられています。また、女性の場合はこれらの原因以外に妊娠や出産によるストレス、産後のホルモンバランスなど女性特有の原因があります。
円形脱毛症になると、どれくらいの期間髪が抜けるのか?
円形脱毛症になると、抜け毛がいつまで続くのか心配になります。仮に脱毛の症状がなくなっていたとしても、髪の毛には生えかわりのサイクルがあるため、自然脱毛は継続して起こります。そのため円形脱毛症による抜け毛なのか、髪の生えかわりによる抜け毛なのか判断がつきにくいということがあります。また、円形脱毛症は脱毛が止まっているのか進行中なのかを判断するには、1ヶ月ほど様子を見ないと分からないものです。
もしこの期間に脱毛範囲が広くなっていなければ、脱毛は止まっている可能性が高いですし、逆に脱毛範囲が広くなっているようだとまだ進行中の可能性があります。さらに円形脱毛症には人によってさまざまなケースがあるため、脱毛期間も一律ではありません。
比較的症状が軽い単発型の円形脱毛症でも、抜け毛が止まるまで半年くらいかかる場合もありますし、人によってはもっと時間がかかる場合もあります。また、症状が重い全頭型や汎発型になると、脱毛期間は数年単位になることもあります。
脱毛の状態や免疫力の違い、生活習慣の違いなどにより、脱毛期間は人によって異なるのが実情ですが、少しでも早く脱毛を止めるには脱毛の要因を取り除くことが重要です。
さきほど述べたように生活習慣を見つめ直すことや、ストレスをためないようにするなど、自己免疫力を高めることで、少しでも脱毛期間を短縮させる努力をすることが重要といえるでしょう。
円形脱毛症になった場合、完治するまでどれくらいかかるのか?
円形脱毛症が完治するまでの期間は、治療に取りかかった時期や、脱毛の種類(単発型、全頭型など)による違いがあるため、人によりさまざまです。仮に円形脱毛症を発症して、すぐにクリニックや医療機関で薬などを処方してもらい、治療をしたとしても効果がでるまでは最低でも1ヶ月ほどかかります。薬などによる治療の効果がでた場合、最初は柔らかい産毛が生えてきますが、徐々に脱毛部分が黒くなりはじめて発毛してきます。
人の髪が伸びる速さは1ヶ月に1センチほどと言われているため、完全に元のような髪に戻るには数ヶ月ほどかかります。しかし、多発型や全頭型など症状が重い場合や、治療が遅れた場合は完治するまで数年以上かかるケースもあります。
円形脱毛症の治療は早いほど完治するまでの期間も短くなるので、発症したらすぐにクリニックなどに相談するようにしましょう。
円形脱毛症の進行を止める方法は?
円形脱毛症の進行を止めるには、発症したらすぐに専門のクリニックや医療機関を受診することです。
円形脱毛症は皮膚科で受診することができます。また、クリニックであれば専門のスタッフによるカウンセリングや適切な治療方法についてのアドバイスが受けられるためおすすめです。
円形脱毛症は痛みなどもないため、初期の段階ではあまり目立たず「そのうち治るだろう」と自然治癒に任せる人もいますが、単発型の円形脱毛症でも多発型へ移行する場合も少なくありません。そうなってしまうと、周囲の視線もかなり気になりますし、完治するまで時間もかかります。さらに心的ストレスも大きくなり、よけいに症状を悪化させてしまうという悪循環にもなります。
また、進行を止めるには家族や周囲の協力も必要不可欠です。とくに女性は男性にくらべて妊娠や出産、育児などでストレスをためやすい環境にあります。しかも髪は女性にとってとても大切なものであり、その髪が抜けることは想像以上のストレスにもなります。
そのため円形脱毛症を止めるには、早めに専門医などで受診をすることが大切です。
円形脱毛症に効果的な食事とは?
円形脱毛症を発症した場合、食事にも気を配ることが重要です。体に不足がちな栄養素を積極的に取り入れることで、体質改善や免疫力を高める効果が期待できます。円形脱毛症を発症する有力な原因の1つにこの免疫機能の低下が考えられています。免疫力が低下すると、さまざまな感染症や病気にかかりやすくなり、新陳代謝も低下していきます。
免疫力を高める食材にはまず「きのこ類」があります。きのこには、ビタミン・ミネラル・食物繊維などが豊富に含まれており、免疫力を高めるにはおすすめの食材です。さらに「発酵食品」も免疫機能を高める最適な食材です。納豆・大豆・みそ・ヨーグルトやチーズなどは腸内環境を整えてくれます。腸内には免疫細胞の約6割が存在するため、腸内環境と免疫機能には深いつながりがあると考えられています。そのためこれらの食材を摂取することはとても効果的と言えます。
ほかにも青魚に含まれるDHA・EPAはアレルギーや炎症を抑える効果がありますし、レバーや緑黄色野菜などに含まれるビタミンAも細菌感染などの予防につながります。
このような食事に気を配ることで免疫機能をアップさせることも円形脱毛症に対して効果的です。
円形脱毛症になった場合の対策は?
円形脱毛症になった人の多くは、最初戸惑ったり困惑したりします。また中には反対に「どうせすぐ治るだろう」と簡単に考えてしまい、自然治癒に任せる場合もあります。しかし円形脱毛症は人によって大きさや症状にさまざまなケースがあるため、場合によっては治療の遅れにより症状を悪化させてしまう可能性もあります。そのため、円形脱毛症になった場合の対策は、まず専門のクリニックなどに相談をすることです。
また、円形脱毛症は頭髪が抜け落ちるため、精神的な負担を感じる人も多いものですが、専門のクリニックなどに相談をすることで、適切な処置方法やアドバイスをもらい、精神的な負担を和らげることができます。
もし脱毛により周囲の目が気になるようであれば、髪型を変えることで目立たなくできるケースもありますし、女性であればウィッグなどの着用や、髪型をアレンジして隠すこともできます。
円形脱毛症になった場合はクリニックや医療機関で治療をすることも大切ですが、免疫機能を高めるためにも食事や運動など、よりきちんとした生活を心がけるようにしましょう。