病気が原因の抜け毛とは?脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症などの病気を解説

病気が原因の抜け毛とは?脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症などの病気を解説

抜け毛が増えたら病気の可能性もあり!

抜け毛が多いときに不安になるのは、男性も女性も同じ。ただ、健康な人の髪も1日に100本前後は抜けますので、抜け毛の量が異常に増えないかぎり、多少髪が抜けても余り心配する必要はないかもしれません。抜け毛が増える原因は、その方によって千差万別です。
もともとの体質が関係しているケースや生活習慣の影響、ストレスといったさまざまな原因が考えられます。こういった原因のなかでもとくに注意をしたいのが、病気の影響です。
抜け毛を引き起こす病気はいろいろありますので、髪が急激に抜けるようになったら自分自身の体調にも少し目を向けてみたほうがいいでしょう。

 

抜け毛が増える病気その①「脂漏性脱毛症」

抜け毛が目立ってくる病気の1つが、脂漏性脱毛症です。脂漏性脱毛症は、頭皮のベタつきや湿疹、かゆみなどに伴って抜け毛が増えてくるのが1つの特徴です。
この脱毛症になると皮脂が異常に増え、頭皮環境が悪化して毛が抜けるようになります。炎症が生じるだけでなく、皮脂によって毛穴も塞がれてしまうことから、健康な髪が育ちにくくなってしまうのも抜け毛が増える一因です。
頭皮がかゆいと、無意識のうちに自分で頭をかいてしまうこともありますよね。頭皮にひっかき傷などができると、傷口から細菌感染を起こしてしまう可能性があるため注意が必要です。

脂漏性脱毛症の原因として考えられるのが、間違ったヘアケアやホルモンバランスの乱れ、食生活や生活習慣の乱れなどです。脂漏性脱毛症を治すには、まず皮膚科で頭皮の状態をチェックしてもらうことが必要です。
原因の1つになるホルモンバランスの乱れはストレスによっても引き起こされますので、脂漏性脱毛症を予防したい場合や、これから改善したい場合はストレスをコントロールするのも1つの対策になるでしょう。

 

抜け毛が増える病気その②「粃糠性脱毛症」

粃糠性脱毛症も、抜け毛を増やす病気の1つです。この脱毛症の場合は、フケが異常に増えてくるのが特徴です。フケが増えすぎると毛穴が詰まり、髪の成長が妨げられます。炎症も生じやすくなりますので、脂漏性脱毛症と同様に頭皮環境が悪くなってしまうことが抜け毛を引き起こす原因と言われています。
毛穴が詰まると毛根の活動にもマイナスの影響を与えるため、スムーズに髪が成長しなくなってしまうのが問題です。

粃糠性脱毛症の原因として多いのが、体調不良やシャンプー、育毛剤の影響です。肌に合わないシャンプーや育毛剤などを使っていると、頭皮が荒れた状態になり、フケが大量発生してしまうことがあります。
また、髪を洗うときに頭皮に強い力を加えてこすり過ぎたり、ブラッシングの刺激が強すぎたりすると、頭皮の環境が悪化しますのでこういった脱毛症になるリスクが高くなります。

粃糠性脱毛症の場合も、皮膚科医の診察を受けるのが現実的な改善法です。頭皮の状態を観察してもらい、必要に応じて炎症を抑える薬や保湿剤などを使って治療していきます。毎日使っているシャンプーや育毛剤などのヘアケア用品を見直すことも、必要になってくるでしょう。

 

抜け毛が増える病気その③「円形脱毛症」

抜け毛が増える病気としては、円形脱毛症も有名です。円形脱毛症は、10円玉ぐらいの大きさの脱毛が突然現れてくるのが特徴です。
脱毛の症状が見られても、かゆみやフケといった症状はとくにないため、初期の段階では本人が円形脱毛症になっていることに気が付かないケースもあります。病気が進むと、最初にできた脱毛と同じような症状が、頭皮のあちらこちらに現れてきます。
そのまま治療をせずに症状が進行してしまった場合には、脱毛の部分が頭皮全体に広がってしまうため、他の病気と見分けがつきにくくなってしまうのが厄介なところです。

円形脱毛症は精神的なストレスとの関係が深いと考えられており、治療をするときにはストレスの原因究明やコントロールも1つの課題です。また、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患との関係も指摘されているため、改善したいときには皮膚科医に相談するのが妥当な方法になるでしょう。

ただ、この円形脱毛症には専用の治療薬がなく、皮膚科でもアレルギーを抑える薬などを症状に合わせて使い分けています。
自己免疫疾患との関連も指摘されていることから、さまざまな方向から原因や治療法を考える必要がある病気です。円形脱毛症は子供や女性にも多く、年齢や性別にかかわらず発生する可能性があります。

 

抜け毛が増える病気その④「自己免疫疾患や感染症」

甲状腺の病気や関節リウマチ、膠原病なども、抜け毛の原因になることがあります。甲状腺ホルモンの分泌量が減る甲状腺機能低下症(橋本病)や、甲状腺ホルモンが増え過ぎるバセドウ病では、抜け毛が増えるのも症状の1つです。
また、ヘルペスウイルスや真菌、ブドウ球菌、梅毒などに感染した場合も、人によっては抜け毛が見られます。健康な髪の発育には、女性ホルモンであるエストロゲンと男性ホルモンであるテストステロンのバランスが保たれていることが必要です。

甲状腺の病気になるとこのような性ホルモンのバランスが崩れてしまうため、抜け毛が急に目立つようになるケースは少なくありません。甲状腺の病気が原因になっているときには、抜け毛と同時に体のむくみや動悸、うつ症状などが現れてきます。
甲状腺の病気の原因ははっきりとはわかっていませんが、体質やストレスなどが関係しているというのが一般的な説です。


目下、こういった病気を治療している方は、服用する薬の副作用にも少し注意が必要になるでしょう。実際、抗がん剤を使っている方などは脱毛の症状に悩むことが多いです。抜け毛が増えた場合は、持病の影響も少し考えておくといいかもしれませんね。
感染症に伴う抜け毛の場合も、やはりその他の症状が現れてきます。抜け毛だけでなく発熱や体のだるさ、発疹などが見られたら、感染症の疑いもぬぐい切れません。
このような自己免疫疾患や感染症が原因になっている抜け毛は、まず大元の病気を治療するのが改善の近道です。背景にある病気が治れば、脱毛の症状も自然に落ち着いてくるでしょう。

 

抜け毛が増える病気その⑤「自己抜毛症」

抜け毛が増える少し特殊な病気としては、自己抜毛症(トリコチロマニア)などが挙げられます。自己抜毛症は、ストレスや精神疾患などを抱えている方によく見られる病気です。
この病気の場合は、本人が衝動的に自分の髪を抜いてしまうのが大きな特徴と言えます。髪の毛だけでなくまゆ毛やまつ毛を抜くケースも見られ、症状の現れ方にも個人差があります。

自己抜毛症はストレスが一因になっていると言われており、頭皮や髪の状態にはとくに問題がないことが多いです。したがって、自分の毛を抜いてしまうという本人の問題行動にストップをかけるのが、1番の対策と言えますね。ストレスが原因になっている場合は、大元のストレスの原因を把握して手を打てば、抜け毛が改善する可能性もでてきます。
一度抜いてしまった毛は、基本的に次の発毛の周期がくるまで生えてきませんが、毛根の活動が正常に行われていれば、毛周期にそって健康な髪が作られ再生してきます。

 

男性ホルモンが関係している抜け毛「AGA」

男性ホルモンであるテストステロンが関係しているのが、AGAと呼ばれる脱毛症です。このAGAは、5αリダクターゼI型やII型といった還元酵素の作用でテストステロンがジヒドロテストステロンに変化して、脱毛の症状を引き起こします。

頭頂部や生え際などは、ジヒドロテストステロンの影響をとくに受けやすいと言われており、AGAによる薄毛の症状が出やすい場所です。ちなみにAGAの場合は、体質によって発生率が変わります。生まれつきジヒドロテストステロンの影響を受けやすい体質を持っている方は、AGAになる確率も上がります。
体質は遺伝によって受け継がれるため、親がAGAの場合は、子供もこの症状を抱える可能性が高くなるわけです。

AGAは、病院でも治療が行われるようになっています。治療では、ジヒドロテストステロンの影響を抑えることが重視されており、ホルモンの作用をコントロールする薬などを使用して対策を講じるのが一般的です。
AGAは20代ごろから発症することが多く、若い男性にとくに多く見られます。20代や30代で頭頂部や生え際を中心に抜け毛が増えてくるようなときには、一度病院でAGAのチェックを受けておくのも、1つの対策になるでしょう。

 

ホルモンは女性の抜け毛にも関係している!

女性の場合も、ホルモンの影響で抜け毛が増えてくることがあります。例えば、FAGAなどは男性のAGAと同様に、男性ホルモンであるジヒドロテストステロンによって引き起こされる抜け毛の症状です。

FAGAの場合は、AGAとは症状の現れ方が少し違います。頭頂部や生え際などを中心に抜け毛が増えて薄毛になるAGAとは異なり、FAGAは髪全体が薄くなります。抜け毛が増える場所はとくに決まっておらず、気が付いたら髪が少なくなっていた、といったパターンが多いのがFAGAの特徴です。
女性の場合は、女性ホルモンの影響で引き起こされる脱毛症にも少し気を付けておいたほうがいいかもしれませんね。

例えば、産後や更年期などによく見られる女性の抜け毛には、女性ホルモンのエストロゲンが関係しているケースが少なくありません。産後や更年期に女性ホルモンのバランスが崩れやすいことは、よく知られていますよね。このような時期はエストロゲンの分泌量が安定しないため、ひどい抜け毛に悩まされる方も多いです。
出産後や更年期の時期に、シャンプーやブラッシングで髪がごっそりと抜けるようになったら、ホルモンの影響を受けている可能性がありますよ。
ちなみに、FAGAなどのホルモンの影響による抜け毛はストレスが一因と言われていますので、精神的なストレスを解消して健康的な生活を送るのが現実的な改善策と言えます。

 

抜け毛を防ぐための対策は?

抜け毛を防ぎたい場合には、普段から対策を講じておくのがおすすめです。病気が原因で起こる抜け毛のなかにも、一定の対策を立てていれば防げるものがあります。
例えば、粃糠性脱毛症や脂漏性脱毛症などは頭皮の環境が一因になっているため、毎日のヘアケアを工夫することで防げる可能性がある病気です。肌に合わないヘアケアアイテムを使わない、シャンプーの洗い残しがないようにする、などは、自分でもできる対策と言えるでしょう。
シャンプーをする時間帯や洗い方に気を配ることも、少なからず効果が期待できます。熱すぎるお湯や刺激の強いシャンプー剤などは頭皮や髪にダメージを与えやすく、使用を避けた方が無難です。

また、頻回のシャンプーやこすり過ぎなども、頭皮に余計な負担をかけてしまうため要注意。円形脱毛症にならないためには、生活の中でストレスを溜めないことも大切になってきます。
健康な髪を育む睡眠を十分にとり、髪のもとになる栄養素を食事でしっかりと補給しましょう。
栄養バランスが悪い食事は髪に悪影響を与えるだけでなく、ストレスへの耐性も低下させてしまいます。ジャンクフードなどを好んで食べていると、精神的に不安定になり、ストレスを感じやすくなることも考えられますよね。

お酒やたばこも、抜け毛を減らしたいときには控えたいところ。アルコール飲料の飲み過ぎは、髪の成長にも悪影響を与えます。また、たばこに含まれるニコチンは血流を悪くするため、頭皮の活動が低下してしまいかねません。
こういった対策は比較的簡単にトライできますので、抜け毛を防ぎたいときにはぜひ試してみましょう。定期的に健康診断を受けて、全身の病気がないかどうかをチェックしておくことも大切になりますね。

 

頭皮の血流アップは病気の予防にも効果的

肌トラブルや全身の病気などがなくても、頭皮の血流が悪いと抜け毛が増えてくる場合があります。発毛には酸素や栄養分などが必要になりますが、血流が悪いとこういった成分を毛根までしっかりと届けることができません。
頭皮が固くなっている場合は、血管も収縮していることが多く、血流が悪くなります。血流の悪さは冷えや凝りなどを引き起こすため、何らかの方法で血行をよくしないと悪循環に陥ってしまいます。頭皮の血流が悪い場合、皮膚のターンオーバーも滞りがちです。
こうなると肌トラブルなどが生じやすくなりますので、病気を予防するためにも血流をアップする方法は効果的と言えます。

頭皮の血流をよくしたいときには、マッサージなどを試してみるのもおすすめ。指の腹で優しくマッサージをすれば、頭皮の血流も改善する可能性があります。頭皮の状態は自分ではなかなか見ることができませんが、指で触れてみると皮膚の柔らかさや弾力などはある程度チェックできます。
自分でマッサージをするのが難しい場合は、ヘアサロンで定期的にヘッドスパの施術を受けてみるのも1つのアイデアになるでしょう。