自分の薄毛は何が原因?年齢、体質、部位によって異なる原因を正しく把握
薄毛ってなに?
一般的に男性は成人になると、少しずつ頭髪が薄くなっていくと言われています。この生理現象が「男性型脱毛症」です。
男性型脱毛症は、男性ホルモンのテストステロンが毛母細胞の中にある5αリダクターゼという酵素と結合し、ジヒドロテストステロン(DHT)に変わり、髪の毛を作り出す毛母細胞を委縮させることにより、髪の毛の成長を止めてしまいます。そして、髪の毛の本来の寿命よりも早く抜け落ちることを言います。DHTの毛母細胞に対する作用は、人種や性別、遺伝などにより異なってくるため、成人男性のなかでも薄毛にならない人がいたり、薄毛の進行具合が人によって変わってくるということが起きるのです。
薄毛とは、髪の毛が抜けることを言うのではなく、寿命が終わった髪の毛が抜けてから、新しい髪の毛が正常に生えてこない状況のことを言います。髪の毛はヘアサイクルがあり、一定期間成長した髪の毛は自然に抜け落ちて、新しい髪に生え変わります。
髪の毛が生えてから抜けるまでの寿命の平均は2~6年と言われています。頭髪全体のなかで、休止期に入っている髪は全体の10%です。この場合、髪の毛が10万本あったら約3ヶ月の間に1万本が抜けていることになります。健全な髪や頭皮なら、1日に50~70本ほど抜けることは普通なのです。
抜け毛は気になってしまうかもしれませんが、この程度なら自然の範囲内なので、敏感になりすぎて薄毛を進行させないように気を付けましょう。
薄毛の原因は色々なものがあり、大きく分けると4つに分類することが出来ます。
1つ目は、遺伝的要素です。薄毛の遺伝は、抜け毛などの症状がそのまま受け継がれるのではありません。両親から男性ホルモンと酵素の2つを一定以上多く受け継いだら、この2つが過剰に結びつくことによって、脱毛ホルモンが生まれやすくなり、脱毛症につながりやすい体質になるのです。このような先天的な原因でも諦めずに正しいケアを行なうことにより、かなりの確率で予防することが可能ですよ。
2つ目は、皮脂分泌過剰です。皮脂は髪や頭皮を適度に潤わせたり、頭皮や毛穴を保護してくれる役割があります。しかし、過度な皮脂と汗が混ざり合うと毛穴をふさいで、新しい皮脂が毛穴の内側にたまって雑菌が繁殖し、髪が抜けやすくなるのです。汗をかきやすい夏や運動後などには、正しい地肌ケアをしたり、頭皮を清潔に保つことを忘れないようにしましょう。
3つ目は、ストレスです。ストレスは自律神経やホルモンバランスを乱してしまい、血流を悪化させます。そうなると、毛根に栄養分を十分に運べなくなるので、髪の毛が育たなくなってしまいます。
4つ目は、血行不良です。バランスの取れていない食事や睡眠不足、過度なダイエットを行なうことで、頭皮の血流が悪くなります。その結果、髪に栄養がいかなくなるのです。また、煙草のニコチンは血流を悪くするので薄毛に影響してしまいます。
10代~20代の薄毛の原因は?
薄毛には色々な症状があり、男性の薄毛のほとんどはAGA(男性型脱毛症)です。薄毛が若年化してきているので、大学生などの20代前半の方も髪の毛が薄くなる人が多いです。主な原因は、遺伝や男性ホルモンの影響などが考えられます。他にも、飲酒や喫煙、睡眠不足なども原因として考えられています。
10代の人にとって、薄毛は30代~50代くらいの中高年世代のもので、自分にはまだ関係ないことだと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、薄毛の若年化によって中学生や高校生、大学生でも脱毛が進行していき、髪の毛が薄くなる人も増えています。
10代の薄毛の原因は、にきびのように成長期のホルモンバランスの乱れや、ファストフードを多く摂取すること、夜更かしをして睡眠不足になっていることなどです。
また、学生時代は多感なので、薄毛によってストレスがたまり精神的にもまいってしまいます。そのため、脱毛がさらに進行することも考えられるのです。
20代は仕事やプライベートなどが忙しく、ストレスもたまりがちなので脱毛が進行しやすいです。そのため、薄毛が気になり始めたら、早めの治療を始めたり、対策を行なうことが大切ですよ。
栄養バランスの整った食事をとったり、睡眠時間を十分に確保したりするなど、生活習慣を改善していきましょう。また、飲酒や喫煙も控えるようにしてください。
ストレスによる薄毛とは?
薄毛が気になるようになってきた場合、原因はストレスかもしれませんよ。ストレスは自覚しているものだけではなく、気付かぬうちにたまっているケースもあります。ストレスが原因の薄毛なら、その原因を解決したり、ストレスを和らげたりすることによって、症状を軽くすることが出来るかもしれません。
ストレスによって抜け毛になる理由の一つに、ストレスに対抗するために体から亜鉛が消費されてしまうということがあります。亜鉛は、髪の毛を作るたんぱく質を合成するために必要な栄養素です。そのため、亜鉛が不足している状態だと、体の中の組織でタンパク質の合成が滞り、細胞がつくられなくなります。
亜鉛をどこのタンパク質合成にあてるかは、生命維持に必要な順位によって決められるため、髪の毛の優先順位は低くなってしまいます。結果として、太い毛は育ちにくく、抜け落ちやすくなるのです。
もう一つの理由は、ストレスを感じると血行が悪くなるということです。交感神経が優位になって血管が収縮し、体全体が緊張状態になります。毛細血管は毛根に欠かせない栄養や酸素を送る役目がありますが、十分に栄養と酸素を届けられずに毛が細くなってしまうのです。また、ストレスがかかると男性ホルモンの分泌が増え、抜け毛に影響を及ぼします。
ストレス性の抜け毛は、特定部位が抜けるというよりは、様々な場所の毛が抜けていくというイメージです。円形ではなく、まだらに抜けていくのが一般的です。精神的なストレスで円形脱毛症になることも考えられますが、それは自己免疫疾患やアトピーなどにより起こることが多いでしょう。
そして、ストレス性の抜け毛は後頭部に限らず、前頭部や頭頂部などにも現れ、地図状に抜けていくという特徴があります。
この場合は少しずつ抜けていくので、気付いた時には薄毛の症状が進んでいたということも多いです。また、眉毛や髭、胸毛などの体毛も一緒に抜けるという特徴もあります。男性ホルモンによって濃くなる体毛が抜けていないかどうかチェックして見ましょう。
ストレス性の抜け毛を対策する方法として、自分なりにリラックス出来ることを日々の生活に取り入れることが大切です。ストレスの原因が特定できる場合には、それを取り除くことを心がけましょう。
ストレスの原因が分からない場合は、ぬるめのお湯に入ってのんびりしたり、ゆっくりと腹式呼吸を繰り返したりして、副交感神経が優位に働くようにしてください。また、ストレスで不足してしまう亜鉛を補うために、サプリメントを利用するのもいいでしょう。
煙草による薄毛とは?
煙草は薄毛の原因になると言われています。煙草は、イライラした時や休憩中、お酒を飲んでいる時に吸っているという人も多いのではないでしょうか。イライラやストレスを解消するために煙草を吸うとも考えられます。煙草には体に有害だと言われる物質がたくさん入っています。
その中でも特に髪の毛に大きな影響を与えそうなのは、ニコチン、タール、一酸化炭素の三つです。
ニコチンは、煙草の依存症を引き起こす物質です。少し摂取すると錯覚作用があり、たくさん摂取したら鎮静作用があります。ニコチンは肺から吸収されて、血液と一緒に体中に広がっていきます。血管を収縮させ、毛細血管などの細い血管に血液が流れにくくなるのです。
タールは、肺につくと取れにくく、多くの発がん性物質を含んでいます。
一酸化炭素は、体内に吸収されると、ヘモグロビンと結びつきます。その結合力は酸素の200倍以上もあり、酸素と結びついていたヘモグロビンを奪います。
その結果、血液の中の酸素が不足し、体の中の組織が酸素欠乏を起こします。
この中でもニコチンは、血管収縮作用があり、頭皮の血行を悪くしてしまいます。血流が滞ることで、酸素や栄養素が届かなくなり、髪の毛が成長しにくかったり、髪の毛が作られなくなったりします。全身の血流が悪くなると、様々な部分で栄養素が奪い合いになり、生命維持に影響を及ぼす部分へ栄養が行ってしまいます。そのため、髪の毛は栄養が不足し、抜けやすくなります。
また、ニコチンは髪を作る時に必要なビタミンCを壊す作用があり、食事に気を付けていても髪が作られにくくなってしまいます。他にも、ニコチンが自律神経にも作用し、交感神経が優位になることで頭皮が汗をかきやすかったり、皮脂の分泌量が増えたりします。
煙草が薄毛に与える影響が大きいことがわかり、禁煙をしようと思う人もいるでしょう。煙草を吸ってから始まった薄毛には、禁煙することで血流が正常に戻ったり、頭皮環境がよくなったりして治る可能性もあります。
しかし、他の影響も考えられる場合は、禁煙だけではなく生活習慣を直したり、ストレスを減らしたりする必要もあるでしょう。また、ホルモンや遺伝が薄毛の原因になっている場合は、薄毛の治療を考えるようにしてくださいね。
体質が原因になる薄毛とは?
体質的脱毛症とは、親から子へ受け継がれる遺伝や性差、その人の体質によって発症する薄毛や抜け毛のことを言います。
男性型脱毛症は、思春期以降の男性に起こる脱毛症で、髪の毛の生え際や頭頂部の髪のどちらか一方や、両方が薄くなります。そして、年齢を重ねるにつれて抜け毛が増えていきます。
テストステロンという男性ホルモンが、皮脂腺で作られるリダクターゼという5α還元酵素の反応により、DHTに転換します。毛乳頭や毛母細胞に悪い影響を与え、髪の毛の成長を妨げてしまいます。DHTに反応しやすい体質や性質が遺伝することによって、薄毛になりやすい家系になります。
男性の中で10人に一人が発症し、思春期前の10代前半に発症する場合もあると言われています。一般的には20代前半に発症し、30~40代に薄毛が目立ってくるようになります。
女性男性型脱毛症は、頭頂部や生え際だけではなく、頭部全体が薄毛になったり脱毛が起こったりするという特徴があります。DHTの影響によるもので、主婦よりも企業などで活躍するキャリアウーマンに多い傾向です。価値観やライフスタイルが男性化し、男性ホルモンが増えていることが原因かもしれません。
また、女性の脱毛症は、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が増減することで起きることがあります。産後や妊娠中の脱毛、更年期脱毛を引き起こしますが、時間が経つにつれてホルモンバランスが元に戻って薄毛も解消される場合が多いでしょう。
他にも、老化が原因となる脱毛症もあります。抜け毛が増えることより、髪の毛が細くなるのが特徴です。
後頭部の薄毛とは?
自分の後ろ姿を見る機会は多くないため、後頭部の薄毛にはなかなか気付けないかもしれません。しかし、一度後頭部の薄毛に気が付くと、他人の視線が気になりますよね。
後頭部は、男性ホルモンの影響を受けにくい部分なので、前頭部や頭頂部よりも薄毛になりにくいです。主な原因として、血行不良やストレス、生活習慣があります。
また、後頭部の薄毛はいくつかの種類が見られます。円形脱毛症は、ストレスが原因の場合や、自己免疫疾患、婦人病などが原因でも起こると言われています。精神的なケアが大切で、ストレスを解決することで治っていきます。
脂漏性脱毛症は、細菌やダニによって湿疹ができて脱毛します。枕などはいつも清潔な状態にして、新たな細菌やダニが発生しないように気を付けましょう。
他にも、栄養障害による脱毛は、無理なダイエットをしたり、バランスのとれた食生活が出来ていないことにより、毛根に栄養が届かずに髪が抜けてしまうので、栄養を考えた食事を取るようにしてください。
機械性脱毛症は、帽子を長時間かぶり続けたり、頻繁に髪の毛を結んだりすることで、毛包に異常が生じて髪の毛が抜けやすくなります。同じ部分にストレスをかけないように気を付けましょう。
また、瘢痕性脱毛症は傷などにより毛根が壊れて髪の毛が生えてこなくなります。髪の毛を増やすのではなく、髪型を工夫してカバーしていくようにするのがおすすめです。