抜け毛対策はまず原因の把握から!最新の研究からわかる抜け毛のタイプ

抜け毛対策はまず原因の把握から!最新の研究からわかる抜け毛のタイプ

抜け毛の原因として考えられること

薄毛や抜け毛を引き起こす原因は人によって異なります。しかし多くの人にあてはまる原因はいくつかあります。よく言われるのが遺伝です。勘違いされやすいのですが、これは薄毛や抜け毛という体質が遺伝しているのではなく、男性型脱毛症の原因となる男性ホルモンの分泌量や、その受容体が多いことや、頭皮が脂っぽいといった「脱毛症につながりやすい体質」が遺伝しています。
これらは、その体質に合わせた対策を行えば脱毛を防げる可能性もあります。「親が薄毛だから自分もなる」と対策を諦めることが脱毛の進行を促してしまい、「薄毛は遺伝する」という誤った認識を定着させてしまっています。またストレスも脱毛の大きな要因の一つです。ストレスが原因の脱毛症の症状で代表的なものには、「円形脱毛症」があります。

この症状は男性よりも女性に多く発生しています。過度なストレスによって、ホルモンバランスや自律神経が乱れてしまうと、頭皮にまわる血液量の減少などが起こります。髪の毛を作り出しているのは毛母細胞です。毛母細胞は、毛乳頭の指示を受けて分裂を繰り返し角質化します。
この角質化した毛母細胞の集まりが髪の毛になります。しかし毛母細胞は、頭皮の血行が悪いと栄養を受け取れなくなってしまうのです。薄毛に大きく関わってくるこの血行不良はストレス以外でも発生します。
たとえば運動不足や、同じ姿勢でいることが多いために引き起こされる体のコリなどです。また偏った食生活などで、そもそも頭皮に届けるべき栄養が足りていない場合もあります。血行不良を改善するためには、生活上のさまざまな面を見直す必要があります。

この他に、季節の変わり目に抜け毛が増加することがあります。暑い夏から過ごしやすい秋、寒く乾燥した冬から春に変わるタイミングに抜け毛が増えると感じる人が多いようです。これは、紫外線による頭皮ダメージや、季節による過ごしにくさのストレスで、毛周期が乱れることが原因とされています。

 

最新の脱毛症研究からわかる抜け毛のタイプ

脱毛症には大きく2つのタイプがあることが報告されています。まず日本人男性に多いと言われているのが「M字型」です。額の中心部分を残し、生え際が後退することで、アルファベットのMの字を描いたような形に脱毛していきます。
次に白人男性や女性に多いと言われているのが「O型」です。頭頂部を中心にアルファベットのOのように中心が薄くなっていくタイプです。このような特徴的な形に薄毛が広がっていく原因として考えられているのが、体質の問題です。

男性ホルモンの一種であるテストステロンは、頭皮に存在する5αリダクターゼ2という酵素と結合することによって、ジヒドロテストステロンに変化しますが、これが毛の細胞内にあるアンドロゲン受容体と結びつくと毛髪の成長を抑制してしまいます。5αリダクターゼ2とアンドロゲン受容体は、前頭部や頭頂部に特に多いといわれています。
このため、前頭部から後退していくM字型や、頭頂部から薄毛が広がっていくO型が多いようです。しかし前頭部の一部だけを残し、薄毛がひろがっていくタイプもあり、これらはまだ研究途中です。
男性ホルモンが原因の薄毛であれば、病院で治療することができます、またジヒドロテストステロンを抑制する効果があるといわれているノコギリヤシなどが配合されたサプリメントもあります。

女性の場合も、男性型脱毛症が発症することはありますが、可能性は比較的低いようです。女性の薄毛は、出産や妊娠に伴うホルモンバランスの変化から起こるものや、スタイリング剤や、カラーリングなどを多用することによって毛根がダメージを受けてしまったケース、ストレスや睡眠不足など様々な理由があり、毛が細くなり、全体的に薄くなってくるパターンと、円形脱毛症のパターンがよく見られます。

 

正しいシャンプーの選び方と使い方

シャンプーは頭皮にダイレクトに影響を及ぼします。市販のシャンプーには大きく分けて3種類あり、高級アルコール系シャンプー(石油系シャンプー)と、石鹸系シャンプー、アミノ酸系シャンプーに分けられます。これらの違いは洗浄成分で、結果的に洗浄力にも差が生まれます。抜け毛予防にもっともおすすめできるのはアミノ酸系シャンプーです。

市販のもので一般的によく使われているのは、高級アルコールシャンプーですが、これは石油由来の界面活性剤を使っており、泡立ちがよく洗浄力が非常に強いことが特徴です。使い心地は快適ですが、頭皮から必要な皮脂まで奪ってしまうので、乾燥した頭皮は過剰な皮脂分泌を引き起こし、逆に毛穴を詰まらせやすくなってしまいます。
また皮脂分泌が過剰になり脂っぽさを感じるようになった頭皮は、シャンプーの際にどうしても力を入れてしまいがちになり、頭皮を傷める可能性もあります。

石鹸系シャンプーは、石鹸が弱アルカリ性のため、弱酸性を理想とする頭皮の状態を弱アルカリ性に傾けてしまうことが難点です。仕上げにクエン酸などの弱酸性系のリンスを使うことで改善できますが、石鹸系シャンプーは泡立ちにくく、使い始めはかなりきしむため、髪の毛を引っ張ってしまったり、十分に洗浄できず洗い残しが発生したりする可能性もあります。

アミノ酸系シャンプーはこの中で最も頭皮、髪にやさしいと言われています。シルクやコラーゲンなど人間の肌に近い成分が使われているので、肌への刺激が少なく、また皮脂をとりすぎないので、頭皮の乾燥を防ぎます。ただし洗浄力が弱いため、皮脂が多い方や、整髪料をつけている方は、軽く洗っただけでは十分に汚れを落としきれない可能性があります。
対策としては、40度以下のぬるま湯で事前によく髪をぬらし、シャンプーをつける前に予洗いすることや、二度洗いすることでクリアできます。またシャンプー前のブラッシングは、髪の表面の汚れやホコリを浮き上がらせてくれるので、より効果的に汚れを落とすことができます。

シャンプーは取り出してすぐ直接髪につけるのではなく、手でよく泡立ててから頭の上に広げれば頭皮へのいたわりになります。髪を洗うというよりは頭皮を洗う感覚で、指の腹を使って優しく頭皮をもみ洗いしましょう。最後は洗い流しの残らないようよくすすぐことが大切です。これまで見てきたように抜け毛は頭皮の血行に大きく関係しています。シャンプー中にマッサージを行うことは、毛穴の汚れを取り除くだけでなく、血行を促進することができます。

ただし長時間シャンプーが頭皮に乗っていると、かえって刺激になってしまうので、長めにマッサージをしたい場合は、一度シャンプーを洗い流してから行いましょう。
マッサージのやり方にはツボ押しの要素を取り入れることも効果的です。頭頂部の少しへこんだところに両手の中指を軽く押さえては離すという作業を繰り返します。そのまま自分が気持ちよいと思う強さで少しずつ位置をずらしながらいろいろな場所を指圧してみると、血行促進効果が期待できます。
最後に後頭部と首の付け根にあるぼんのくぼと呼ばれる少しへこんでいる部分や、両耳の後ろ側の首に近い部分にあるくぼみを少し持ち上げ気味に軽く押します。

これらの場所は眼精疲労や肩こりに効くといわれていますが、眼精疲労などの原因が血行不良と関係していることを考えれば、頭皮への血流にも影響していることが想像できます。シャンプーブラシを使用する場合は、自分が気持ちよく感じられる程度の刺激にとどめることがポイントです。頭皮は思っているよりもデリケートなので、毛穴の汚れをかきだそうとゴシゴシこすってはいけません。


トリートメントを使うときは、頭皮ではなく、髪の毛につけるようにします。トリートメントにはコーティング作用があるため、頭皮につけてしまうと肌トラブルが起きやすくなってしまいます。シャンプーが終わったら、なるべく早く根元から乾かすようにすると、地肌の乾燥を防ぐことができます。

 

日々の生活で心がけるべきこと

抜け毛対策を考える上で心がけるべきなのは、規則正しい生活です。睡眠中は成長ホルモンが分泌され、髪がよく成長します。夜間の良質な睡眠はできるだけ確保したいものです。アルコールは分解される際にアセトアルデヒドと呼ばれる、ヒトの深い眠りを妨げる代謝産物を生みだします。
飲酒によって睡眠の質が下がることは髪の毛の成長に影響が考えられます。飲酒は適量を守り、飲みすぎないよう気をつけましょう。栄養バランスのとれた食事をとることも大切です。髪の毛のもととなるたんぱく質や、身体の円滑な代謝活動に関わるビタミン、ミネラルなどの微量栄養素など、様々な栄養素を万遍なく摂取できるよう心がけましょう。

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮し、血行を悪くしてしまいます。タバコは髪だけでなく、体にとっても悪影響を及ぼすので、タバコを吸うことによって起こる弊害についてはよく考える必要があります。最後にストレスをためない生活を心がけることが大切です。
適度な運動はストレスの発散になり、血行もよくします。自分にあった趣味やレジャーなどストレスをためないで過ごせるよう休みの過ごし方を工夫すれば、抜け毛への対策だけでなく、気持ちや体調面でもより快適に毎日を過ごすことができるでしょう。

 

より積極的なアプローチとしてのツボ押しやお灸

体には意志と無関係に働いて生命の維持活動をしてくれている神経があります。昔から行われているツボ押しは、自立神経のバランスが乱れた時に、正常な状態へ戻す働きをすると言われてきました。抜け毛対策に効果的だと言われているのは、主に血流を改善するツボです。
身体の中心を通る線と、両耳の間を結ぶ線の交わるところにある「百会(ひゃくえ)」は頭皮の血流を改善する効果があると言われています。
首の真後ろから左右に指1本分ずれたところに左右対称にある「天柱(てんちゅう)」は首から頭にかけての血流を改善します。
さらに天柱の外側に左右対称にある「風池(ふうち)」も後頭部の抜け毛や薄毛に特に効果があるとされています。
また、手の親指と人差し指の骨が合わさるあたりにある「合谷(ごうこく)」は風邪、肩こりなど何にでも効く万能のツボと呼ばれていますが、頭部の抜け毛対策にも効果的と言われています。

ツボ押しは、筋肉が緩んだ状態のときのほうが、刺激が神経に伝わりやすいため、息を吐きながらゆっくり力を加え、力を抜きながらゆっくり吸います。効果を期待して強く押しすぎると後から痛みを感じたり、痛いと感じた瞬間に体がこわばってしまうと、せっかく緩んだ体が硬くなり血流も悪くなってしまうため、自分が気持ちよい程度の刺激にとどめることも大切です。

またお灸はそれぞれの症状に対応するツボの上に据えることで血行を改善し、もともと人間がもっている自然治癒力を高める治療法として古来から使われてきました。1度の施術で劇的な効果を望むのではなく、何度もすることで、徐々に身体の底力を上げていき、症状が改善されていく治療法です。

お灸は熱いというイメージがありますが、実際にはじんわり温かくなったところでもぐさを取り除くので、痛みはほどんどありません。薬などを使えない妊婦さんの治療などにも適用でき、自然な治療法を目指している方におすすめできます。ツボを刺激する方法として鍼を使う方法もあります。鍼は直接毛穴に刺すのではありません。
血行不良が原因であれば、血行を促進するツボに、ストレスが原因であれば自律神経の働きを調整するツボに刺します。鍼がツボ押しやお灸と異なる点は、より奥の方まで刺激ができることです。抜け毛に関しては様々な要因が絡まり合っていることも多く、多角的なアプローチをする場合に、鍼は魅力的です。
治療は国家資格を持った鍼灸師がします。脈をはかることで、その人のどこの部分が弱っているかがわかるので、鍼灸師に診てもらうことで、自分では気づいていなかった問題点にも対応することができるかもしれません。

 

あきらめずに正しい知識を身につけ行動する

売れている育毛剤などを見ても、血流を改善すること、毛穴の健康を保つこと、栄養を与えることで育毛を目指しているものが多いようです。自分でできることとして、正しいシャンプーの仕方を実践しながらツボ押しなどを取り入れ、食事の栄養バランスを心がけて、ストレスはなるべくためずに発散できる場所をつくる生活を意識すれば、頭皮だけでなく、自分の体全体までいたわることができます。
毎日毛が抜けていくのを見ると、不安な気持ちになることもありますが、日々の対策をしっかりとっていけば、長期的な目でみて改善していくこともあります。正しい知識を身につけ、できることを1つずつ行っていきましょう。